2017.12.08 fri沖縄エリアスタッフBLOG
外伝的ノベライズ/最新作
皆さん、おまっとさんです!
島んちゅの帽子屋平和通り店の又吉です。
ついに12月に入りましたね!
今年も残すところ、あと僅か・・・精一杯楽しんで、悔いのない1年を過ごしましょう!
それでは、さっそく本題に参ります。
さぁさぁ、皆さんお待ちかね!
いよいよ、忘れかけた頃にやってくる、あの作品の最新作がお目見えです!
それでは、どうぞ!!
ハンバーガーJr.の残像(ざんぞう)
第1.5章:朝日が昇る日
※これは、第1章と第2章の間に起きた “短編サイド・ストーリー” です。
私は、部屋の窓から見える【あの景色】が大好きだった。
普段はインドアな私でも、一日中駆け回りたいと思える程だったから。
辺り一面草木に覆われ、木々を通り抜ける心地よい風が、地面の至る所に咲き誇る黄色いタンポポを静かに揺らし、変わることのない一定のリズムを毎日刻んでいた。
私は、あの景色を覗く【部屋の窓】も大好きだった。
太陽が差し込む本窓が良い具合に配置され、この部屋を作ってくれた大工さんに感謝した。
私は、懐かしさが染み込んでる【この家】だって大好きだった。
先祖代々からこの家に住んでいて、幾度の災害にも耐え、私達を大事に大事に守ってきたこの家が、本当に誇らしかった。
そして何よりも、大自然溢れる【この街】が、世界で一番大好きだった。
たとえ、私がお婆ちゃんになっても、きっとここから離れない。ずっとこの街に居たい。
「そう思ってたのに・・・」
今は違う。
私は、この景色が【嫌い】になった。
あの頃のような大自然はもう、何処にも見当たらない。
辺りを見渡しても、目につくのは草木の生えない、焦げ茶色の地面やその周辺に落ちてる【外壁の破片】ばかり。
私は、部屋の窓も【嫌い】になった。窓ガラスが割れて中途半端に残った、形だけの窓から覗いたって、何の感情も湧かないから。
私は、この家も【嫌い】になった。
あれだけ私達を守ると約束したのに、この家は半分以上倒壊し、大切な家族も皆、離ればなれにされたから。私だけこの家に残って助かったなんて、あまりにも哀しくて涙が止まらない。
そして何よりも・・・
「・・・もういい」
今にも心が押し潰されそうな状況を救ったのは、後ろから私をじっと眺めていただけだった、私の【同級生】だった。
「もう、十分だろ。それ以上続けると、身体に悪いぞ」
どちらかといえば素直な方ではない、不器用な同級生は、涙ぐむ私にそっと肩に手を置き、話を続けた。
「大丈夫だ。必ず希望はある・・・“昇らない朝日はない”」
私はその言葉に自然に反応し、口が動く。
「“朝日が昇る日は、必ずやってくる”」
同級生は微かな笑みを浮かべ、だろ?という感じにうなずいて見せた。
「・・・そうだね。」
私達は半壊した家で、形だけの窓から見える【あの景色】を、強い眼差しで眺めた。
いつの日か、この状況を救ってくれる、真っ暗な地面から昇ってくる朝日のような【救世主達】が、私達の前に現れてくれることを信じて・・・
End.